前回は歯のホームケアについてお話させていただきました。
ホームケアは歯周病予防として非常に大切なことではありますが、
どうしても限界があります。一度付着した歯石は自宅での歯磨きでは除去することが困難です。
今回は病院で行われる、いわゆる「プロケア」と呼ばれる口腔内ケアのお話です。
そもそも歯石とは何でしょうか?お口の中に残った食べかすは歯周病菌の好物です。
歯みがきをしても取りきれなかった食べかすに、歯周病菌がたくさん寄ってきて歯垢となります。
歯垢は歯みがきでとることができますが、このまま放置すると3~4日で石灰化し歯石となります。
こうなると歯にかたくこびりついてしまい、歯みがきでは落とせません。
歯垢や歯石の正体は歯周病菌、つまり細菌の塊なのですね。
歯に歯石がついたままになっていると、歯肉炎が発生します。
食欲に影響が出ないことも多く放置されがちですが、このようなお口の問題があると肝臓・腎臓・心臓疾患等
の発生リスクが上昇することが知られています。また、炎症が歯肉から歯を支えている
骨にまで進むと歯周炎となり、骨を溶かしはじめます。
膿が溜まって顔が腫れたり、穴が開いて出血・排膿したり、くしゃみや鼻水・鼻血といった
症状が出る場合もあります。歯周病は骨まで溶かす恐ろしい病気なのです。
歯磨きで落とせない歯石の除去には、全身麻酔下での処置が必要となります。
肉眼で確認できる歯石だけではなく、歯肉に埋もれた領域までしっかりとスケーリングをしなければなりません。
また、動揺がなくとも歯周ポケットが深い場合には抜歯や抜歯後の縫合が必要なこともございます。
このような治療は自宅ではもちろん、サロンでの処置はできません。
「口臭が気になる」といったよくある悩み以外にも、
「高齢だから歯のケアをあきらめている」といった方は沢山いらっしゃるかと思います。
麻酔処置を行う前にしっかりとした検診を行うことで、治療の幅が広がることがございます。
お口の問題で気になることがある方はぜひ一度診察にお越しください。