新年度になり、新しい家族としてペットを迎えられる方も多くいらっしゃられる中で、今回はうさぎさんの避妊手術及び去勢手術についてのお話をさせていただきます。

 以前と比較して近年ではわんちゃんやねこちゃんと同様に、うさぎさんの避妊手術及び去勢手術も積極的に行われております。しかし、「小さい動物なのに大丈夫？」「全身麻酔はかけられる？」といった不安の声を診察中に聞くことも多くあります。そういった不安をできる限り軽減できるよう手術のメリット等をふまえて紹介させていただきます。

【うさぎさんの避妊手術】

うさぎさんは高齢になるほど生殖器（子宮、卵巣）の病気にかかりやすくなります。代表的なものとして子宮腺癌という命に関わる病気になることが知られており、血尿や食欲不振を呈して来院される方が多くいらっしゃいます。子宮腺癌は早いと約2歳齢から認められることのある腫瘍であり、来院された時には他の部位に転移が認められ、治療の施しようがない状態のうさぎさんもいらっしゃいます。このような病気や毛抜きといった問題行動を予防するために当院では卵巣および子宮を摘出する避妊手術を推奨しております。

【うさぎさんの去勢手術】

生後５，６か月以降から部屋のあちこちに尿をかけるスプレー行動といわれる行動をとることがあります。スプレー行動は繁殖に関わる本能的な行動なのですが、室内で飼育される場合には問題となります。また、高齢になるにつれて精巣の病気（精巣腫瘍等）にかかりやすくなります。このような問題行動の防止や、病気を予防するために精巣を摘出する去勢手術を推奨しております。

避妊手術及び去勢手術ともに全身麻酔をかけることになりますが、麻酔リスクを評価するために麻酔前検査（血液検査やレントゲン検査等）をオプションで行わせていただいております。どのような検査をどのタイミングで行うか、獣医師と相談していただき納得いただいた上で手術に臨みます。また、手術前後でうさぎさんの性格に大きな変化はほとんど見られないことが確認されておりますのでご安心ください。避妊手術及び去勢手術はともに約６か月齢から実施可能です。かわいいご家族の病気の予防のためにも、興味を持たれた方はお気軽にご相談くださいね。